/「リレーエッセイ」大きな木造について(池邉慶太)

「リレーエッセイ」大きな木造について(池邉慶太)

皆様お世話になります。豊國建設株式会社の池辺です。
株式会社ザイナスの川上さんよりリレーバトンを受け取りました。はじめてのエッセイですが、最近興味をもっている環境問題について建設の立場から書かせていただきたいと思います。

◼木造ブームの到来
突然ですが昨今、建設業界では「木造」や「木質化」に注目が集まっています。戸建住宅はこれまでも木造が主流でしたが、最近よく耳にするのは「中・大規模木造」や「都市木造」といったキーワードです。要するにデカイ木造です。例えば東京オリンピックのメイン開場となる国立競技場も沢山の木が使われていますね。大分ではOPAM(大分県立図書館)や由布市ツーリスト・インフォメーションセンターなどが良い例です。また海外に目を向けると、ノルウェーで昨年、世界で一番となる高さ85mの木造高層ビルが完成しています。これだけ技術が発達した時代に、なぜまた「木」が注目されているのでしょう?


写真:ブルムンダル(ノルウェー)の木造高層ビル

◼脱炭素社会と木材
1つは、日本国内において木材需要を高め、輸入材により衰退した国内林業を立て直そうという国策が影響しています。戦後に植林した森林資源が伐採期を迎えているのに需要がないため、放置され荒廃していくという問題があるためです。
そしてもう一つの要因として、グローバルな「脱炭素社会」の流れがあります。人間社会が発生する炭素(CO2)は気候変動を引き起こし、近年の異常気象や未来の地球環境へ大きな影響を与えています。
昨年末マドリードで開かれた国連COP25(気候変動枠組条約第25回締約国会議)で、日本は“化石賞”という不名誉な賞を受賞したのがニュースになっていましたね。日本は発電に関し化石燃料への依存度も高く、先進国の中で大きく脱炭素へのアクションが出遅れている状況です。
さて、建設という経済活動においては、メインで使われる鉄・コンクリートという素材が、製造過程で多大な炭素放出をしてしまいます。そこで、自然素材である「木」が見直されてきたと言う訳です。


図表:「森林・林業白書林野庁編」より

これまで当たり前に中・大規模建築物を建設する際には鉄やコンクリートを採用していたところを、「木」で置き換える。これには耐火・耐震強度の面で多くの課題がありましたが、構法開発や法的な整理が進み、コストは高いですが徐々に事例が増えてきています。

◼サステナブルな都市へ
持続可能な社会に対してどのように取り組んでいくか?これは世界において、企業価値を示す指標の一つとなっています。何より、単純に自然素材でつくられた空間は元来心地がよいものです。森林資源が豊かな大分も、木造都市として発展していく素養がある気がしています。
建設業を営む一企業として、環境負荷を低減することを心がけ、近い将来「大きな木造」にも取り組んで行きたいと考えております。
以上、最近の私の関心事のご紹介でした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


写真:カナダにて建設されている木造ビル

会社名:豊國建設株式会社
氏 名:池邉慶太
プラザ大分:会員歴1年目
入会のきっかけ、経緯:会社より案内
プラザ大分に入会してよかったこと:会社とは違う拡がりがあって楽しいです。
バトンを渡す相手:㈱オーガス 甲斐達夫さんお願い致します。