/Q&A「新型コロナウイルス感染予防セミナー」

Q&A「新型コロナウイルス感染予防セミナー」

2020/8/20に開催された当会8月例会企画「新型コロナウイルス感染予防セミナー」にご参加いただいた皆様ありがとうございました。当日は時間の都合で十分な質疑応答時間が取れませんでしたが、セミナー後のアンケートに記載いただいたご質問に対し、講演者の宮崎主幹にご回答いただきました。

 

Q1: 日本はPCR検査の費用が欧米と比べると高いようですが、今後下がる可能性はあるのでしょうか。

A:個人での負担で考えますと、もし新型コロナウイルス感染症を疑って保健所や医療機関で検査をすることになれば、費用は無料です。

ただ、症状はないけれど陰性を確認したい、といった場合や、海外に行く場合にその国から陰性証明を求められているのでそのために検査をするような場合には、公的な検査ではなく「自由診療」として医療機関等で検査が行われることになります。その際には料金の基準等があるわけではないので、それぞれの医療機関等が独自に値段を設定しているようです。

コストの面で考えますと、PCR検査と言いましても、様々な企業から機器や検査試薬が発表されており、現在も対応するものが増えてきているようですので、下がる可能性はあると思われます。

 

Q2: 職場の共用部分の消毒は、除菌シートで代用は可能でしょうか?

A:除菌シートの種類によります。

除菌シートにウイルスを不活化する成分が含まれているものであれば問題ありませんが、ウイルスへの効果が期待できないものも多くあるようです。

厚労省では、濃度70%以上95%以下(※1)のエタノールやウイルスの膜を壊す家庭用洗剤等に含まれている界面活性剤(※2)等について効果を認めているようですので、このようなものを選ぶ必要はあります。

とはいえ、こういったものを利用するのが理想的ではありますが、高濃度でウイルスが付着している可能性があるような状況でなければ、表面に付着したウイルスを拭き取り清潔に保つだけでも感染症対策には効果があると思われます。

 

(※1) 60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告があり、70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えありません

(※2)NITE検証試験結果から有効と判断された界面活性剤(9種)

・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)

・アルキルグリコシド(0.1%以上)

・アルキルアミンオキシド(0.05%以上)

・塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)

・塩化ベンゼトニウム(0.05%以上)

・塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(0.01%以上)

・ポリオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)

・純石けん分(脂肪酸カリウム)(0.24%以上)

・純石けん分(脂肪酸ナトリウム)(0.22%以上)

 

 

Q3: 弊社ではマスク着用を奨励しております。社員に一律布マスクを配布し、着用をお願いしております。濃厚接触者の定義に必要な感染予防策ととらずにとありますが、布マスクでも必要な感染予防策を講じたと考えてよろしいでしょうか。

A:医療用のN95マスクといったものでなければ、完全にウイルスを遮断する効果は、通常の不織布や布マスクには期待できません。

しかしながら、マスクをしていれば、感染している方から、ウイルスを含んだ飛沫が広く飛散することも、接触により手に付いたウイルスが口に入ることも防ぐことが出来ます。

皆さんがマスクをしていれば、感染リスクを大きく減らすことが出来ますので、布マスクや不織布マスクにかかわらず、お互いにマスクをしての接触であれば濃厚接触とはならない場合が多いです。(もちろん状況や環境によるところもありますので、絶対ではありません。)

 

Q4: 大分県の重症患者の受け入れ数は何人まででしょうか?

A:厚生労働省への報告数としては重症者受入れ病床数は41となっています。

8月27日現在、重症はいません。

 

Q5: 弊社は製造業で、一部の事業場では1つの部屋/空間に約100名がおり、隣の人との距離は1m未満で、同じ製品/部品を手(指サック)で扱う生産体制をとっています。手指やドアノブ等の消毒、マスク着用を義務づけてはいますが、万が一、感染者が出てしまうと、かなりの人が濃厚接触者になるのではないかと危惧しております。こういった状況下で、普段どの様な対応をとるのがベストなのか、具体的な感染防止策をご教示いただきたく存じます。

A:マスクを付けての、このような作業のみであれば、感染防護対策を行ったうえでの接触となるため、濃厚接触者にはあたりません。よって、濃厚接触者に対して実施される14日間の自宅待機等の対象とはなりませんが、作業場の消毒や、場合によっては周辺の作業者を接触者として念のために検査を行うような場合もあり、1、2日程度の休業となる場合はありえます。

また、このような事例で多く見られているのが、休憩の際にマスクを外して1時間程度食事をしたといった場合があり、これは濃厚接触者となりますので、同席した方は検査の対象者となりますが、陽性でも陰性でも14日間の自宅待機が求められます。

休憩室や更衣室が、密な環境にならないようしておくことは、実際の感染拡大防止のためにも必要かと思います。

 

Q6: 換気環境によっては、換気の必要がないとの事でしたが、どのくらいの広さで、どの程度の換気ならと言う数字での指標があると教えてほしい。

A:厚生労働省から通知されている例としては、

①換気機能のない冷暖房設備を使っている商業施設等の皆さまへ

換気機能のない冷暖房設備(循環式エアコン)しか設置されていない商業施設等の場合、外気温が高いときに、必要換気量を満たすための換気(30分ごとに1回、数分間窓を全開にする)を行うと、ビル管理法で定める居室内の温度および相対湿度の基準(28℃以下・70%以下)を維持できないときがあります。

新型コロナウイルス感染症のリスク要因の一つである「換気の悪い密閉空間」を改善

するための換気と、熱中症予防を両立するため、以下の点に留意してください。

○ 居室の温度および相対湿度を28℃以下および70%以下に維持できる範囲内で、2方向の窓を常時、できるだけ開けて、連続的に室内に空気を通すこと

この際、循環式エアコンの温度をできるだけ低く設定すること。

1方向しか窓がない場合は、ドアを開けるか、天井や壁の高い位置にある窓を追加で開けること。

居室の温度および相対湿度を28℃以下および70%以下に維持しようとすると、窓を十分に開けられない場合は、窓からの換気と併せて、可搬式の空気清浄機を併用することは換気不足を補うために有効であること。

 

② 換気機能を持つ冷暖房設備(空気調和設備)がある建築物の場合

建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管理法)における空気環境の調整に関する基準に適合するように外気取り入れ量などを調整することで、必要換気量(一人あたり毎時30m3)を確保しつつ、居室の温度および相対湿度を28℃以下および70%以下に維持してください。

項目 基準
二酸化炭素の含有率 100万分の1000以下(=1000 ppm以下)
温度 ①1. 17℃以上28℃以下
②居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと。
相対湿度 40%以上70%以下

 

以上になります。

多くのご質問ありがとうございました。