/[リレーエッセイ]質量の基準について(梶原哲也)

[リレーエッセイ]質量の基準について(梶原哲也)

当社は計量器の取り扱いを専門にしている会社です。
計量器の販売やメンテナンス、実際に使用されている計量器が正しい重量を表示しているか、基準となる分銅などを使って検査を行ったりしており、基準となる分銅の質量は非常に重要です。
その重要な基準である質量の定義が来年改訂される予定であることをご存知でしょうか。
現在の質量の定義は「国際キログラム原器の質量」となっています。
国際キログラム原器とは、直径・高さともに39㎜の円柱状の分銅で、重さは1キログラムです。※写真1

 写真1:国際キログラム原器

1889年に当時の最先端の治金工学で開発製造され、現在フランスにある施設に厳重に保管されています。
家庭にある体重計から、薬剤を調合する精密なはかり、さらには鉄鉱石や原油などの輸出入に関わる大型のはかりに至るまで、世界中の質量にまつわる基準はすべて、この国際キログラム原器が基準となっています。
ちなみに日本の基準となる原器は、この国際キログラム原器の複製になります。※写真2

 写真2:日本の基準原器

SI基本単位7つのうち、人工物が基準となっているのは現在では、唯一質量だけです。
作られた当時、10万年は質量の基準として十分機能すると期待されていましたが、その後の計測技術の発展により、この基準の質量に微小ではありますが変化がみられることが判明し、この原器を廃止することとなりました。
その後、世界中の研究機関が協力して、130年ぶりに質量の定義が2019年に改訂されることとなる予定です。
他のSI基本単位である長さや時間と同じく、概念で定義できる方法に変わり、100年以上に渡って世界の質量の基準となっていた国際キログラム原器がその役目を終えることとなります。
但し、定義が変わるからといって、私たちの日常生活に特に影響はありません。
いきなり体重が減ったり増えたりすることはなく、製薬会社や研究開発等の非常に高精度な数値が求められる業界のみにとどまるということです。
質量定義の改訂は、身近な問題とは言えませんが、今回のお話で少しでも計量の業界に関心をもっていただけたら幸いです。

 

 

  • ■会社名:株式会社 エクセム
  • ■氏 名:梶原 哲也
  • ■プラザ大分会員歴:9年目
  • ■入会のきっかけ:先代社長がプラザ大分へ入会しており、退会と同時に交代入会
  • ■プラザ大分に入会してよかったこと:
  •  多くの異なる業種業界の方々と出会うことができ人脈は確実に広がりました。プラザ大分の会員には年齢制限がないので、世代ごとの価値観に捉われることなく、様々な考え方や意見も聞くことができます。入会していなければできなかった視察や研修など多くの貴重な経験も積むことができました。プラザ大分での経験は、自身の考え方や仕事への向き合い方など、強く影響しています。
  • ■次回執筆者の指名:前代表の池邊さんを指名します!