/[リレーエッセイ] 鉄工所とはどんなところ?(横山 朋樹)

[リレーエッセイ] 鉄工所とはどんなところ?(横山 朋樹)

町工場の代表格?である、鉄工所にについて、どのようなイメージがあるでしょうか。鉄を加工する工場の総称である鉄工所ですが、実は、様々な種類が存在します。鉄の加工に馴染みのない方は、鉄の加工は鉄工所に、とお考えかもしれません。しかし、実は得意不得意があります。たとえて言うなら、鉄工所を大きなくくりで『球技』とした場合、サッカーを得意とする工場もあれば、サッカーはできないけど卓球はできる、という工場もあります。
そんな鉄工所で行われている加工は、私の区分けですが、大きく分けて8つあります。

 〇板金工場   =板を加工する会社でたとえば窓のサッシなどを作っているイメージの工場です。
 〇精密板金工場 =1mm以下の精度を求められている板の加工で、IT関係の部品などを加工している工場です。
 〇鉄骨工場   =ビルなどの建築物の骨組みを加工している工場です。
 〇プレス工場  =オートバイのマフラーなど、金型を使って成形加工をしている工場です。
 〇機械加工   =旋盤やフライス盤を活用して、シャフトや台座など鉄を削る加工をしている工場です。
 〇鍛造工場   =いわゆる鍛冶屋さんで、刃物などを加工している工場です。
 〇鋳造工場   =いわゆる鋳物屋さんで、鉄を溶かして型に入れることで製品を作る工場です。
 〇製缶工場   =缶をつくる、と表現していますが、溶接を含む鉄の加工で上記の複数の加工をしている工場の総称として使われています。

このように、同じ鉄工所でもできること、できないこと、得意不得意があります。例えば、鋳造工場に溶接をお願いしても、得意ではないので出来ないことが多いです。精密板金工場に建屋の骨組みをお願いしても、不得意なので難しいです。鉄工所は鉄の加工は何でもできるわけではないのです。
次に鉄工所は難しい技術で鉄を加工している、というイメージがあると思います。それはその通りで、職人さんが活躍する業界です。しかし、その元になることは、小学校や中学校の技術の時間に経験していることで、それを鉄で実現しているにすぎません。例えば、サイコロをつくるのに紙をはさみで切る、折曲げ、糊付けする、といった工程を踏みますが、鉄も同じです。
 切る  ⇒せん断(はさみ)、切削(のこぎり)、溶断
 曲げる ⇒プレス加工
 糊付け ⇒溶接
そう考えると、鉄の加工のイメージがわくと思います。
また、素材としての鉄はとても優秀で、切ることもでき、曲げることもでき、削ることもでき、溶接することもできる万能加工素材です。例えば、鉄の板に穴をあけて、その穴が失敗だった場合、溶接の技術で穴を埋めることもできます。その上、完全リサイクルが可能なので、鉄の資源が仮になくなっても、不要な鉄から鉄の材料を再生することができます。そんな鉄ですが難点もあります。それは、重たいということで、比重は水の7.8倍もあります。

㈱三和プレスでは、鋳造と鍛造以外の技術を駆使して、鉄の加工を行っています。主に、大分市内のプラント設備のメンテナンス品を製造しています。通常であれば、プレス加工はプレス工場に、機械加工は機械工場に頼むのですが、弊社では、それらを1社で行えることが強みです。また、多岐にわたる鉄加工の技術を保有しているので、最近では製品開発に対して技術協力をする機会も増えてきました。大分を、日本を元気にできるような製品を世に送り出すことを目標に、日々頑張っています。

私がプラザ大分に入会したのは15年ほど前です。これまで、プラザ大分の諸先輩方に経営者として必要なことを教えていただき、大分県の方をはじめ多くの方と知り合うことができました。そこから学びえたことは、今の社業に大きな影響を与えています。新しいことにも積極的にチャレンジできているのも、プラザ大分で勉強させていただいたからだと思っています。プラザ大分からもっと多くの方が多くのことを学んで、大分を元気にしていければ最高だと思います。

新しい年号最初のエッセイは、松本知財総合特許事務所の松本秀治弁理士にお願いします。お忙しいとは思いますが、宜しくお願いします。